「教育は自分のためにやっている」という覚悟を決める

 教育は「子どものためにやっている」と思い込みがちです。もっと重くなると「自分を犠牲にして子どものためにやっている」となります。もちろん、自分より先に子どものことを思いやるのは大切なことです。でも「情けは人の為ならず」という言葉があるように、教育は子どものためではありますが、同時に自分のためでもあります。子どものためにやっていることが自分のためにもなっている、という喜びが教育者として歩んでいく原動力になります。

 別の角度から言うと、「自分のためにやっていることが子どものためにもなっている」と信じられる人が教育者になれるのだと思います。本当に子どものためになっているかどうかはこちらからは分からないので(その子が決めることだと思います)、信じるしかありません。その信念がプラスに働くこともあれば、マイナスに働くこともあります。相性の問題や場の問題もあります。

 「自分のことなんて考えていない、全部子どものためにやっているのだ」という思い込みは、教育という営みがマイナスの結果を生んでしまった時に、毒にしかならないと思います。自分が悪いのかもしれないという反省への扉が閉じてしまいます。常に、「子どものためを思ってはいるが、同時に自分のためでもある(自分が気持ちよくなるためである)」という心を持っておく、むしろ「全部自分のためなんだ」と思うくらいでもちょうどいいかもしれません。

 一度どこかでそういう覚悟を決めると、いざ現場に入る時にはリラックスしていられる気がします。