人間が行動するきっかけとなる動機は、内発的動機と外発的動機に分けられます。外発的動機の一番分かりやすい例は、ご褒美、報酬です。子どもが、外発的動機ではなく内発的動機によって学べるようにする、というのは教育において鉄則です。外発的動機による誘導で学習したり成績を上げたりして得られる喜びは、長い目で見ると本質的な幸福や自由にはつながりません。他者の評価軸によっているからです。そうではなく、内発的動機によって、自分自身の欲求や好奇心の赴くまま夢中で何かに取り組んで成長したり変化したりすることで、自分だけの評価軸が作られていきます。生涯を通じて大切なことです。
では、内発的動機とはなんでしょうか?これは実は難しい問題だと思っています。例えば、朝起きて急に「あれがやりたい!」と閃いて何か始めるとしたら、これは内発的な気がします。では、周りの人が何かやっているのを見て「自分もやりたい!」と思って始めることはどうでしょうか?直接のご褒美や報酬がないとはいえ、「あの人があれをやって褒められているのが羨ましいから自分もやってみたい」と感じているとしたら間接的に外発的だと思います。ただ純粋に「面白そう!」というだけなら内発的な気がします。色々な具体例を想像して、外発的か内発的かを考えると、案外、明確な線引きは難しいことが分かります。
明確な基準を定めることはできませんが、「ご褒美や報酬がなくても、ただ自分の楽しみのためだけにやりたい」「誰にも知られなくても、誰の目にもとまらなくてもやりたい」「どんなに無駄と言われてもやりたい」などと感じられることが、内発的動機によるものなのだと思います。子どもが、なるべく自分から「やりたい」と感じて行動できるよう、環境設定や声掛けを考えることが大切です。